コラム

子どもの視力低下が深刻な社会問題に

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子どもの視力低下の現状

近年、子どもの視力低下(近視)が深刻な社会問題になっています。文部科学省の2016年の調査によると、裸眼の視力が1.0未満の小学生は31%を超え、この30年間で約1.5倍になっていることがわかりました。

目が悪くなったらメガネやコンタクトレンズで矯正すればいいと考えがちですが、近視は年齢が若いほど悪化しやすい傾向にあり、進行して病的近視になれば視力矯正ができなくなり、ひどければ失明することもあります。

どうしてここまで子どもの視力が落ちやすいのか、またその対処法などを見ていきましょう。

視力が落ちる原因

子どもの視力低下は遺伝と環境どちらにも要因があります。

まず遺伝ですが、親の視力が悪ければ、子どももそれだけ視力が悪くなりやすいことがわかっています。

具体的には、両親とも視力がいい場合に比べ、片親が近視の場合は2倍、両親とも近視の場合は8倍の確率で、子どもが近視になりやすいというデータがあります。

0~16歳までは特に遺伝の影響を受けやすい時期です。 もう一つは環境的要因で、近くを長時間見続けるテレビ、スマートフォンやタブレット、パソコン、TVゲーム、勉強、読書などがそれにあたります。

近年はスマートフォンやゲームなどを幼い頃から子どもに与える傾向がありますが、小さな画面の中で細かい動きを長時間追い続けることは、目をとても疲労させることでもあります。タブレット学習などが流行っていますが、相応のリスクがあることを頭に置いておきましょう。

このようなライフスタイルの変化もあり、近視の若年齢化が進んでいます。

予防・対処方法は難しくない

子どもの視力低下を予防するには、近くを凝視しすぎないようにすることに加え、遠くも見ることが有用です。

予防方法としては、デジタル端末(スマホやゲームなど)の使用を1日30分程度にすること、部屋を明るくしてからテレビを見たり勉強すること、成長に応じて机を椅子の高さを調節して正しい姿勢を保つこと、目に負担をかけないように寝転びながらのゲームや読書をしないことなどが効果的です。

近くばかり見ていれば視力はどんどん下がり、姿勢も悪くなっていきます。また、外でよく遊ぶ子どもの方が目が悪くなりにくいというデータもあります。

外で遊ぶということは、意識せずとも「遠くを見る」ということなので、それだけ目に負担がかかりにくく、更に体力もつくので子どもの健康にもとても効果的です。

子どもの視力低下を食い止めるには、大人がきちんとそれに気づくことが大切です。子どもは「見えにくい」ということに気づきにくいという特性があります。

自分の目が見えにくいことを自覚できないままに無意識に視力を調整しようとしてしまうので、どんどん目に負担がかかっていくという悪循環に陥ってしまいます。

子どもが目を細めていたら、それは見えにくくなっているサインなので見逃さないようにしましょう。子どもの視力低下に気づいたらなるべく早めに眼科を受診し、それ以上進行しないように対策をしてもらうことが必要です。

近視は根本的に治す方法はありません。なので、子どものうちにならないようにすること(予防)、もしなってしまったらそれ以上進まないようにすること(対処)が大切なポイントです。

子供のサインにきちんと気づくことはもちろんですが、デジタル端末に依存させすぎないことや、読書などの際も休憩を挟んだり、テレビを見る際も適度な距離をとるなど普段の生活の中にできることは多くあり、どれも難しくありません。子どもの視力低下を防いであげられるのは身近にいる大人です。

適度にサポートしながら見守っていきましょう。